陰翳礼賛~chiaroscuro~

Cinematographer 早坂伸 (Shin Hayasaka、JSC) 

『ハザードランプ』予定通り公開の報を聞いて

先程、榊英雄監督『ハザードランプ』が予定通り4月15日より公開されるとネット記事で知りました。撮影を担当した身としては非常に心がざわついております。 まず、『ハザードランプ』製作委員会は、公開決定に至った理由をもっと詳細に説明する義務があると…

榊英雄氏の報道について

週刊文春オンラインによって映画監督・榊英雄氏による「性行為の強要」が報道されました。被害に遭われ、長年苦しんでこられた被害者の方々に心からのお見舞いを申し上げます。加害者の近くにいながら犯罪的な行為を止めることが出来なかったことを深く陳謝…

◾️『歩きはじめる言葉たち 漂流ポスト3.11を訪ねて』の撮影について

2020年3月31日昼前、野村展代プロデューサーから一本の電話があった。 「今朝、佐々部清監督が亡くなりました」ーー。 天と地がひっくり返るような感覚とはこのようなことを言うのか。全く現実感が追いついてこない。 亡くなった時の状況などを聞いて冷静に…

◾️20201101

10月29日から佐々部清監督最新作『大綱引の恋』の鹿児島での先行上映が始まった。あえて「最新作」と書いたのは、我々佐々部組スタッフ・キャストが監督の不在を受け入れられていないし、これからも佐々部作品を観たいと思っているから。また実際に何本かの…

■佐々部清監督のこと

佐々部清監督が急逝されて初七日を迎えた。 3月31日、秋に撮影予定だった映画の資金集めで下関に帰郷されていて心疾患で逝去された。「佐々部組」の残されたスタッフ・キャストたちはキツネにつままれたようだ。もしくは突然悲しみの感情に打ちひしがれる。…

◾️『架空OL日記』の撮影について

テレビ版に引き続き、『架空OL日記』(住田崇監督)映画版を手掛けさせてみらった。映画化の話はテレビ版撮影の頃からスタッフ間で囁かれてはいた。 ただ出演者は多忙な人ばかり。テレビで見ない日はない、脚本、主演のバカリズムさんのスケジュールを押さえ…

◾️『羊とオオカミの恋と殺人』の撮影について

朝倉加葉子監督から電話をもらった際、最初に言われたのは「早坂さん、一緒にキラキラ系の青春映画やりませんか?」。自分は基本的に軟調の画に興味がないカメラマン。今までの作風も“キラキラ”は全くなく、むしろ“ドロドロ系”。そのときは大した興味も持た…

◾️『惡の華』の撮影について

押見修造氏による『惡の華』は2009年から2014年にかけて「別冊少年マガジン」で連載された漫画である(全11巻)。シャルル・ボードレールの詩集からタイトルは取られており、実際詩集が重要なアイテムとなって出てくる。2013年にはロトスコープを使用したア…

◼️『約束のステージ 〜時をかけるふたりの歌〜』撮影について

佐々部清監督とはこれで通算5回目のコンビになる。撮影スタイルが予め分かっているということは不安要素が少ない。佐々部監督は予めカット割りを出しておく。このカット割りの精度が凄い。カメラ尻(通称ひき尻=カメラを置くスペース)やライト、美術チェン…

◼️『blank13』本予告

https://m.youtube.com/watch?v=YSQctSvdVno 『blank13』公開まで秒読みとなりました。 本予告はよく出来ています。 この作品を一言で表すと“味わい”だと思っております。 何かしらの感情(=エモーション)と共鳴して頂ければ幸いです。

◾️謹賀新年

あけましておめでとうございます。 今年もよろしくお願い致します。 「キアロスクーロ撮影事務所」も法人化に相成り、株式会社として本格始動致します。 もともとは「自主映画や低予算作品でもキチンとした機材、人材で撮影を行っていく」ということを念頭に…

◾️NGT48『世界はどこまで青空なのか?』MVの撮影について

https://youtu.be/qGBvujY6bjg MVは年に1、2本程度手掛けるかどうかで、正直畑違いだと認識している。撮影助手の頃は数多くのMV現場をこなしてきたがカメラマンになってからは“映画的なもの”を求めてくる場合以外にはほとんど声が掛からない。知人も少ない。…

◾️『報復〜かえし〜』の撮影について

この作品の仮題は『罪の追憶』というものが付かれていた。どことなく韓国映画を彷彿とさせるタイトルである。劇場用作品ではあるがDVDパッケージ2本にするというのは前段階から決まっていたので、所謂“Vシネマ”の枠組みだ。1週間程度で3時間近い作品を撮影…

◾️連続ドラマW『沈黙法廷』の撮影について

テレパックに所属する村上牧人と東田陽介監督とは一昨年のドラマW『誤断』以来のコンビ。一定の信頼感がある現場はスッと中に入りやすい。プロデューサーからは独特のトーンを作ってほしいというオーダーがあり、『誤断』とも異なるルックを追及した。予算的…

◾️連続ドラマW『沈黙法廷』プロモーション映像

https://youtu.be/B3dJ-c7awBQ

◼︎ 『下北沢ダイハード』の撮影について

ドラマ24『下北沢ダイハード』が21日よりオンエアされます。下北沢を舞台に、小劇場系劇作家×PV系映像作家の組み合わせに自分のような映画系スタッフが参加しているオムニバス作品。テレビ東京らしい斬新な企画。と言うのも予算に限りがある深夜ドラマは、効…

◼︎ Master of Light : Roger Deakins

https://www.theparisreview.org/blog/2017/05/09/master-light

◼︎ 『八重子のハミング』公開によせて

佐々部清監督『八重子のハミング』が公開されました。技術論ではなく、この映画の存在を撮影・制作に携わった者の一人としてしたためておこうと思った次第です。 映画業界に入る際に、よく大先輩たちに「親の死に目に会えないと思え」と言われました。実際、…

◼︎ タルコフスキー『ストーカー』ビハインドシーン

https://cinephiliabeyond.org/unique-perspective-making-stalker-testimony-mechanic-toiling-away-tarkovskys-guidance/

◼︎『架空OL日記』の撮影について

『架空OL日記』は、バカリズム氏がOLになりきり半分で書いていたブログが原案になっている。描かれているのは銀行員の日常であり、映画やドラマにあるような起承転結はない。せいぜい電気ストーブが壊れたとか、誰かが盲腸になったとか、ゴキブリが出たとか…

◼︎『blank13』撮影について。

『blank13』(ぶらんく・じゅうさんと読む)は俳優斎藤工氏が、“齊藤工”名義で監督する初長編映画である。監督とは今までご一緒する機会はなく、今回の現場が初めてであった。ラインプロデューサーから依頼を受け、スケジュールが立て込んでいたが調整するこ…

◾️ネオン・デーモン

http://www.creativeplanetnetwork.com/news/shoot/beauty-and-insanity-natasha-braier-brings-neon-demon-lurid-life/614762

◼︎防備録:LOGとLUT

http://fujifilm.jp/business/broadcastcinema/solution/color_management/is-mini/promotion/pack/pdf/news/20150122_jppa.pdf

■『八重子のハミング』撮影について

「怒りに限界があっても、優しさには限界がない」-。4度のがん手術を乗り越えつつ、若年性アルツハイマーを患った妻を12年間介護した男性の手記を映画化したのが『八重子のハミング』(原作:陽信孝、小学館刊)である。徐々に記憶を失くしてゆく妻は自分…

◼︎防備録:4Kと8K

http://www.soumu.go.jp/main_content/000440374.pdf

◼︎参考動画:α7sⅡ

https://vimeo.com/173075724

■ケン・ローチ監督『ジミー、野を駆ける伝説』

先日二度目のパルムドールを獲得したケン・ローチ。昨年公開されたこの作品は未見だった。原題は『JIMMY'S HALL』。ホール(集会所)が物語の根幹であり、ジミーという人物の伝記を描くことが主題ではないのでこの邦題はとてもいただけない。同じアイルラン…

◾️Understanding the Cinematography of Sven Nykvist

https://m.youtube.com/watch?feature=youtu.be&v=SeInwPEhJS4

■『ヴィスコンティvsフェリーニ』

NHK-BSの世界のドキュメンタリー『ヴィスコンティvsフェリーニ』を佐々部監督にDVDを焼いてもらい観せてもらった。我が家はBSを観ることができない。二人及び周囲の反目のことは知らなかった。ただ同じCinecittà撮影所で同時代に生きた巨匠監督だから互いに…

◼︎寺田緑郎さんのこと

先輩の映画カメラマン、寺田緑郎さんが3月2日に亡くなられた。享年52。 あまりにも早逝過ぎる。 自分よりちょうど10歳年上である寺田さんは、自分が撮影部を始める頃にはチーフ撮影助手を始められていた。今から18年ほど前、98年頃に初めて仕事をご一緒させ…