陰翳礼賛~chiaroscuro~

Cinematographer 早坂伸 (Shin Hayasaka、JSC) 

◾️謹賀新年

あけましておめでとうございます。

今年もよろしくお願い致します。

「キアロスクーロ撮影事務所」も法人化に相成り、株式会社として本格始動致します。

もともとは「自主映画や低予算作品でもキチンとした機材、人材で撮影を行っていく」ということを念頭に設立した事務所。ほぼ非営利組織と言えるものでした。ただ時間と共に人も増え、機材も増え、気づけば自分が使わない機材のために私財を投じ、膨大な経費がかかるようになっていました。カメラも陳腐化のスピードが高速化し、2年に一度は見直していかないと時代の趨勢に置いていかれるようになりました。機材の低価格化は喜ばしいことなのですが、映画やドラマが主のウチのような事務所では機材レンタルは高くつき、結局無理してでも購入することが多くなりました。非営利組織では、立ち向かえない状況になったのです。

  幸い、この期間に数多くの作品を手がけさせていただき実績だけは積み重ねることが出来ました。逆に言えばそれしかないのも事実です。豊富な資金もありません。ただ実績はお金では買えません。時間も必要です。その唯一無二の武器を信じて闘っていくほかありません。

  商売の基本である「何をどのような形でコンシューマーに届けることが出来るか」を常に肝に銘じます。短期的にはその対象はプロダクションになるのですが、長期的には観てくださる方々です。その双方に訴求できるような撮影を行なっていく所存です。

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今年の初めに一昨年の秋に撮影した2作品が公開されます。『blank13』と『生きる街』です。斎藤工さん、榊英雄さん、いずれの監督も役者であり、双方の作品にお互い出演しているという、やや不思議な経験をさせて頂きました。全く異なる内容の2作品ですが、自分らしいルックは作れたと思っております。撮影の詳細はまた違う機会に書こうと思っております。

  フィルム撮影と異なり可視化できる現在、カメラマンが居なくても映画を撮影することが出来ます。実際、ソダーバーグやロドリゲスのように監督自ら撮影する人も少なくありません。それでも我々が存在する意義を常に念頭に置き、自らを洗練させていくほかないのです。我々の商品は「美意識」に他ならないのです。

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  “映画の街”調布の古刹「深大寺」と古社「布多天神社」の札を元朝参りで頂いて来ました。何か今年はいい年になりそうな気がしております。

 

  今年一年もどうか宜しくお願い致します。

 

平成30年元日