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陰翳礼賛~chiaroscuro~

Cinematographer 早坂伸 (Shin Hayasaka、JSC) 

20140102

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◼ミレッド値

  色温度を評価する際には一般的にケルビン(K)が用いられる。撮影現場でも大抵の場合事足りる。但しイメージはデイライトの所謂5600ケルビンが基準になっている方がほとんどのはず。デイライト(5600K)に対しての10000Kの見え方、4000Kの見え方など。これがタングステン基準(3200K)になると一気にイメージが分からなくなる。人間には全体的に赤く感じられてしまうが、カメラにおいては敏感に感知されることとなる。5600Kベースの感覚を3200Kベースに変換する際にミレッド値を利用すると便利なことこの上ない。ミレッド値とは色温度値で100万(10の6乗)を割った数値。なぜこのような逆数を用いるかといえば、色温度は低温度域と高温度域とでは間隔が全く異なり、同じ100K差でも表すものが一様ではない。それを便宜上同等に評価するためである(図参照、上が色温度、下がミレッド値)。
  先日東映スタジオにセットを建ててもらいとある映画の撮影を行った。主にワンシチュエーションで午後から夕方、夜、明け方と時間が変遷する。飲食店の設定でメインの光源は6つのペンダントライトである。セットは中と庇のある玄関ドア前、外観と外の芝居はロケという割り振り。これをいかにも自然に繋がなくてはならない。ペンダントライトは所謂白熱球で電球の交換やルーコンで光量調整はできるが色温度は変換出来ないのでカメラの設定はタングステン3200Kということになる。画の中に映る電飾はありのままの2500Kなど、人物に行く光は2700K、外光は青みがかった色にしたいがはたしてどのくらいにすべきだろうか。3200Kのノーマル色温度では芸がなさ過ぎる。そこでミレッド値の登場である。デイライト5600Kの感覚でいうところの6600Kぐらいのさり気ない青さを表現したかった。これをミレッド値で表すと5600Kは179ミレッド、6600Kは151ミレッドである。その差はマイナス28ミレッド。これをタングステン3200Kに当てはめると、3200Kは313ミレッド、ここからマイナス28した数値は285。この近似値は286ミレッドである3500Kということになる。文章にするとちょっとわかりづらいかもしれないが自分で一覧表作って台本などに貼っておくと便利。自分も20分位で作ることができた。
  カメラの設定もデイライトとタングステンだけではない。3800Kや4200Kなどもよく使われる設定だと思う。設定が何であろうとミレッド値を使えば自分のイメージの色を理論上再現することが出来る。